RESEARCH
Group-3 Remote sensing, environment monitoring
Field observation
equipment, Underwater monitoring robot
(現地観測,リモセン,環境調査用モニタリングロボット)
本研究室は流体工学分野の研究を行っていますが,教員のキャリアがものづくり系と環境情報系とを経ていることから,沿岸域や風場を調査することだけ
でなく,調査するための
装置作りも行っています.研究が開設された2008年当時は細谷の専門であった沿岸の流れの数値シミュレーションと衛星リモートセンシン
グを鹿児島大学が引き続き行っていましたが,電子制御工学科という学科の特徴に合致させるため,2010年からは山間部における風力発電
機の立地可能地点調査(歴史から自然エネルギー源を探す手法をとりました),2012年からはラジコンボートを利用した水域モニタリング
(採水,撮影)装置の試作を開始しました.2016年現在では360°全周囲が撮影できるカメラによる水中画像処理(SfMなど)に取り組んでいます.
MUD BOOTS (2020~)
水中歩行は水の流動抵抗により,体力を使います.さらに,泥濘地では靴が抜けずに苦労した経験をお持ちではないでしょうか? 本研究室では泥濘地の歩行をより容易にする
ための長靴装着型流体デバイスを研究しています.2021年度にはインフラマネジメントコンテストにて優秀賞を頂きました.これからも研究は続きます.
平時は田んぼなどの作業に,災害時は避難・捜索活動に使えることを目的に無電源で,シンプルにをコンセプトとしています.
*流体力測定ではロボットアームを使って足の動きを靴モデルに与えます. 2020.2.2現在,開発中のデバイスは「田んぼの安全守り隊」で検索
してください(インフラマネジメントコンテストのサイトでご覧いただけます)本HPには2020.6の学会発表後に掲載します.
TUNNEL MONITORING ROBOT (2018~)
VRカメラを搭載した自走式ロボットを用いて狭い隧道や水路内の壁面変状を調査するロボットを試作しています.トンネル壁面の展開図を作りだすことも可能です.現在は
AIによる変状抽出ができないか検討中です.
UNDERWATER MONITORING RC
BOAT RCボートを使った水中モニタリング (2013~)
市販の電
動ラジコンボートを双胴船状に接続し,中央部に翼形のペイロードを付けたモニタリング装置を製作しました.これ自体には学術的な新規性は
ありませんが,水質環境調査への援用や,360°全周囲カメラによるモニタリング装置の試験に使用しています. ドローンを併用したモニ
タリングについては鹿児島大学水産学部海岸環境工学研究室(西研究室)との共同研究で行っています.
2014年には岡山県渋川水族館さま,鹿児島県かごしま水族館さまのご厚意でクリアーな水で満たされた大型水槽内の全周囲撮影を行い,防水ケース
による画像の歪みや透明度
が高いものの照度が低い環境下でのモニタリング特性を調べました.(水族館では興味深々に寄って来る魚を傷つけないよう,スクリューを停
止して曳航しました)
水族館以外にも実際
の沿岸域で調査を行いました.福島県の松川浦,鹿児島市長水路など,浅い水域での水中の様子を撮影したり,水温分布を調べるなどの調査を行いまし
た.
360°カメラは非常に強力なツールで,泳ぐ魚をフォーカスすることなく撮影が可能です.一方,光学撮影機器は濁度に大きく影響を受けるため,濁
りのある港内ではなかなか 厳しい結果となりました.水面ちかくを遊泳する魚のモニタリングには空撮ドローンの方が適しているといえます.
おまけ:悠々と泳ぐサメたちです.本研究は複数の360°カメラを用いて水中動画を撮ることで,水中作業シミュレーターへの応用やSfMによる形
状データの取得を試みる 予定です.2016年までの成果はROBIO(IEEE)にて発表しました.
2013年の鹿児島大による調査に参加したときの福島県の松川浦の写真と数値モデルによる仮想粒子の動きです.
WIND FIELD
OBSERVATION by THE TRADITIONAL RIV TRAFFIC SYSTEM
"TAKASEBUNE 高瀬舟が利用した風エネルギー
岡山県の吉井川流域をかつて高瀬舟が帆走していた史実に基づき,吉井川流域の和気町周辺での風場調査を行いました.2009年から3年間,和気町佐伯体育館屋
上 に風速計を設置して観測データを収集しました.あわせて気象官署や周辺の風データを用いて地域に特有の風場を調べ,風力発電機の設置候補
地になりえるか調査しました.またMASCONモデルを使った簡易ネスティング計算により時系列の風場の変化を調べたところ,S系やSW
系の風は谷地形の河川軸に沿って風が遡上し,NE系やE系の風が吹くときは河川軸内は無風になりやすいことが推算されました.
年間を通じて昼間は風速3m/s程度の風が吹きやすく,夜間は無風になる吉井川中流域の風は瀬戸内海の海陸風のように温度の変化によ
る密度流と谷地形による縮流が影響していることが推測されました.岡山県には吉井川と同じ規模の一級河川が3本走っており,いずれも高瀬
舟が多数就航していたことから,いずれの河川でも昼間に発生する風を利用していたものと思います.今後は岡山県だけでなく,高瀬舟が活躍
した日本各地,はては海外まで視野を広げ調べていきたいと思います. 風力発電については・・・夜間無風というのがネックで,今回調査し
た山間地域は商用電力用風力発電機の設置場所としては難しいかと思います.
岡山県田原井堰資料
館,和気歴史民俗資料館所蔵資料より.
調査地点 MASCONモデルによって計算された局所
風
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(津山高専に着任する前の研究です)
Warm Ocean Water Intrusion
Into Kagoshima Bay (鹿児島湾への暖水侵入 (~2006) )
2006年当時,細谷は鹿児島大学において突発的に生じる黒潮由来の外洋水の鹿児島湾内への流入現象を調査していました.調査手法は数値シミュ
レーションと衛星リモートセ
ンシングを駆使し,数値モデルは故K博士が残されたコードを利用させていただき,自分なりにコードを色々と作り,コリオリ力の影
響を受けた暖水密度流のモデル化を行いました.また衛星画像はK先生からMODISセンサについて教えていただき,インドネシア
からの留学し得のG氏と色々と探っていました.当時,冬場の鹿児島湾への暖水侵入は漁業関係者を中心によくしられていましたが,その全貌は未知な点が多く残されています.
特に,侵入形態が1パターンではな
いことや夏場でも冬季の暖水侵入のような外洋水の侵入がしられているものの,その全体像を見出すことはできませんでした.そこで
LANDSAT,NOAA,TERRA(MODIS)のSST画像-Chl-a画像を使って暖水侵入過程を調べました.また数値シミュレーションを援用し,そのメ
カニズムの把握を試みた結果,鹿児島湾への暖水侵入は湾口に接した黒潮由来の暖水によって発生する半地衡性の沿岸密度流であ
る可能性が高いこと,侵入形態は湾の東岸に沿って北上するが冬季の強い季節風による吹送流による影響により渦形態が発生する
可能性があることが見いだされました.2016年現在,この研究はス トップしていますが,チャン スがあれば更なる研究に着手したいと考えています.特
に水深200mを有する鹿児島湾の水質環境にはこの外洋水流入が大きくかかわっており,2016年のパリ条約に代表される地球温暖化
対策の仕方次第で地域の環境に大きく影響を及ぼしそうです.

メモ: 黒潮は世界でも珍しい西岸強化流で,九州の南の海上,屋久島付近のトカラ海峡で蛇行しながら太平洋に向かいます.この時,暖水の一部が
舌状となって九州南岸に到達する現象が古くから知られていましたが,調査範囲が非常に広大なため,2004年当時はその全体像の把握はな
されませんでした.そこで時間分解能の面で有利なNOAA衛星を用いてその挙動と鹿児島湾などへの影響について調べ,簡単な数値モデルで
そのメカニズムの推察しました.その結果,鹿児島湾や吹上浜に類似した暖水侵入を起こすこと,大隈半島南岸に強い流れによって死水領域が
生じ,冷水が残りやすいことがわかりました.
Warm water intrusion into Kagoshima Bay taken by LANDSAT(ETM+) and
MODIS SST and Chl.a images.
Principal Component Analysis of
the Tidal Flow in Kagoshima Bay
外洋水の流入現象のメカニズムを調べた2006年には他にもいくつかの解析を試みました.多変量解析手法である主成分解析を潮流場に与
えたらどう なるか調べてみました.
周期成分の主成分分析結果は結局のところ,FFTとも似た結果になるのですが,なにか特徴めいた流れパターンが分離されないかと宝探し的に取り組んでみました.
データソースが数値シミュレーションによるM2潮の流れのため,上位4モードのみが卓越した形になり,やはり分離された流れ場の
潮流楕円成分は互いに直交していました.せん断渦や進行渦様の流れがある黒潮外縁を対象に解析してみると面白いかもしれません.
大
正大噴火前後の鹿児島湾の流れの推算(2006) Tidal current simulation in Kagoshima Bay
鹿児島湾にそびえる桜島は時折大噴火を起こしてきました.大正時代の噴火により水路の一つが埋没した歴史があります.もし,大正大噴火がなかった
ら現在の湾内の水質はもっ
とよくなる?という議論があり,試しに計算してみました.大正大噴火前の海底地形は明治時代に海軍により行われた測量結果を用いまし
た.数値シミュレーションでM2潮を与えた場合の潮流を計算したところ,必ずしも過去の方が海水交換に有利ではないと推測される結果
が得られました.この課題については水理模型実験を使った実験なども行われており,関心の深さがうかがえます).