挨拶

地域共同テクノセンター長 小林敏郎

地域共同テクノセンター長

電気電子システム系 教授 小林敏郎

日本政府は、経済発展と社会的課題解決が両立できる「Society 5.0(ソサエティ5.0)」の実現を目指しています。「Society 5.0」とは、「狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)といった人類がこれまで歩んできた社会に次ぐ第5の新たな社会をイノベーションによって生み出す」という意味だそうです。具体的には、医療・介護、自動走行、環境・エネルギー、モノづくり、防災といった分野において、IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボットなどの革新的な技術を取り入れて新しい付加価値を創出することであると言われています。

津山市でも、全国の自治体に先駆けて平成27年に「産業支援センター」が立ち上げられ、ビジネスの創出による雇用促進、技術者教育による競争力の強化などの未来への投資が進められています。

このような社会の躍動的な動きに対応し、津山高専においても平成28年度から従来の4つの専門学科から大括りの「総合理工学科」の1学科に組織変更し、基礎教育の強化、生物・化学などの新しい専門分野の拡充工学教育の高度化分野横断・融合教育の推進など、新しい教育・研究体制となりました。

ご存知のとおり、津山高専の地域共同テクノセンターの目的は、「教育及び研究機能を地域社会に開放し、教育及び研究の発展に寄与するとともに、地域社会における産業技術の振興及び発展に貢献すること」であると規定されており、地域の戦略的な取り組みを支援するため、シーズの提供ニーズへの対応(課題解決)と、設備・システムを活用した技術者教育に向けて、従来から産学官金民の連携・融合の取り組みを進めています。

さらに、平成28年10月には津山高専内に「つやまイノベーションセンター」を設置しました。「つやまイノベーションセンター」は、津山高専の高い研究開発力を活かし企業の技術開発や製品開発支援を強化するために、つやま産業支援センター、人形峠環境技術センター、地元企業、津山高専が力を合わせる産学官連携の研究・開発拠点です。企業対応の専任コーディネーターを配置するとともに、津山高専の研究者、企業技術者から構成される研究会が組織されました。研究会は、ステンレス・メタルクラスター企業と連携して新素材や次世代インフラ関連技術開発を行う「メタル研究会」、農業・医療・福祉介護ロボット研究の推進・実用化、生産性向上を推進する「ロボット研究会」、3Dプリンターの活用、企業のIT化を支援する「IT研究会」の3つが活動を始めています。

経産省だけでなく、文科省も教育・研究機関の在り方について検討しており、興味深い調査報告をしています。すなわち、産学連携、オープンイノベーションで世界をリードする米国に対し、日本は製品開発、応用研究についての産学連携は同程度にまで追いついたが、将来の製品開発につながる基礎研究については、まだまだ米国より遅れているとのことです。これは、日本では短期的・長期的なロードマップを作成して、マイルストーンを明確にした事業の進め方が実質化されていないということであろうと思います。このような長期的な課題が解決できなければ常に二番煎じとなってしまいますので、イノベーションにつながるための研究・事業戦略が重要となります。

以上のように、企業の皆様方には、高専の設備人材ネットワークを活用して頂くと同時に、将来地域を支える学生の教育津山高専の持続的な発展に関して、今後とも引き続きご指導、ご協力頂けますようお願い申しあげます。